飲酒運転は罰則適用の基準値以下でも許されない!

 ある事業所の飲酒運転防止の講習会で、講師の管理者に対して、受講している運転者がこんな質問をしました。

運転者 「酒気帯び運転の罰則は、呼気中アルコール濃度が1リットル当たり0.15ミリグラム以上と決められていますよね。だったら、それ以下のアルコールだったら飲んでいても大丈夫ということですよね」

 

管理者 「君のように『酒気帯び運転の罰則が適用される基準値以下なら飲んでもいいだろう』と自分勝手な解釈をしている者も多くいるんだが、そういう解釈は間違っているんだよ」

 

運転者 「どうしてですか?罰則がないということは、大丈夫ということでしょう」

管理者 「道路交通法第65条第1項には『何人も酒気を帯びて車両等を運転してはならない』と定められているんだよ。だから、一滴でも酒を飲んだら絶対に運転してはいけないんだ。それを、基準値以下なら罰則が適用されないから許されると自分を誤魔化しているだけなんだよ」

 

運転者 「でも~基準値以下の少量のアルコールなら、そんなに酔ってはいないし、それほど危険ではないと思いますけど」

管理者 「それも、危険な考え方だよ。本人は酔っていないと思っていても、選択反応時間検査などでは確実に反応時間が遅れるデータもある」

 

運転者 「それは、どんなデータですか?」

管理者 「これは、交通事故総合分析センターで行った実験だが、シミュレータを運転してもらって、画面の3種類のランプが点いたらランプの色によって指定されているボタンを押すという実験をしたんだ。すると、飲酒をしていない人の平均反応時間が0.94秒だったものが、呼気中アルコール濃度が約0.1ミリグラムの人は0.98秒と0.04秒も長くなっているんだ」

 

運転者 「呼気中アルコール濃度が約0.1ミリグラムと言えば、罰則が適用される基準値以下ですよね」

 

管理者 「そうだよ。ちなみに基準値ギリギリの約0.15ミリグラムの人は、1秒とさらに長くなっている」

 

運転者 「そうなんだ」

管理者 「だから基準値以下の酒なら飲んで運転しても大丈夫だと言うのは、自分に対する考え方が甘いんだよ。たとえ少量でも酒を飲めば反応時間が確実に遅れ、事故になる可能性も高くなるということだよ」

 

運転者 「わかりました。これからは考え方を改めます」

 「少量の酒なら罰則がないので飲んでも大丈夫」というのは、自己中心的で危険な考え方です。
罰則がなくても、酒を飲んだら確実に反応時間が長くなることを認識し、絶対に運転しないということを肝に銘じておきましょう。