代行運転を依頼したら途中で帰さない

 ある事業所で、社員がマイカーを運転中に飲酒運転をしてカーブミラーに接触する事故を起こしたと管理者に報告に来ました。管理者がなぜ飲酒運転をしたのかを聞いています。

 

運転者「あの……、昨日マイカーを運転中に、自宅付近で飲酒運転をして接触事故を起こしてしまいまして……」

 

 

管理者「えっ、あれほど飲酒運転は厳禁と言っているのに、どういうことなの!」

 

運転者「本当に申し訳ありません。もちろん飲酒運転をするつもりはなかったんです。たまたま逢った友人と食事をすることになって、少しお酒を飲んだんです」

 

 

管理者「まさか、それで飲酒運転をしたというんじゃないよな」

 

運転者「もちろん、お酒を飲むと決めたときには、運転代行業者を呼んで帰るつもりでした」

 

 管理者「それなら、飲酒運転なんてする必要がないよな。運転代行業者が掴まらずに、マイカーを運転したのか?」

 

 

運転者「それも違うんです。運転代行業者には依頼して自宅に帰ったんです」

 

 

管理者「それだったら、ますます飲酒運転をした理由が分からないな?」

 

 運転者「それが、ちょっと言いにくいのですが、運転代行業者を途中で帰してしまって……」

 

 

管理者「途中で帰した? どうしてそんなことをしたの」

 

 運転者「私の自宅は、結構入り組んだ所にありますので、道幅も狭いので、自宅近くで降りてしまったのです」

 

 管理者「でも、運転代行業者は君が運転すると飲酒運転になるので、すんなりと納得はしなかっただろう」

 

 運転者「ええ、いろいろと説得されましたが、家の者が迎えにくるので大丈夫と言ったんです」

 

 

管理者「それで、自分で運転して事故を起こしたのか」

 

 

運転者「そうなんです」

 

 

管理者「そこまでして、なんで運転したの?」

 

 運転者「酒は少ししか飲んでいなくて醒めていましたし、新車だったので自宅付近は道幅が狭いので傷つけられたらイヤだな思ったんです」

 

 管理者「でも、自分で運転して傷つけていたんじゃ、運転代行業者に任せたほうがよかったんじゃないか」

 

 

運転者「いま考えると、バカなことをしたと後悔しています」

 

 

管理者「アルコールが入ると、そういう判断も鈍ってしまうんだよ」

 

 

運転者「そうですね」

 

 管理者「それと酒を飲んでしばらく経つと、醒めたような感覚になるが、完全には体内からアルコールが抜けていないので、しらふのときの運転感覚とは違うんだよ」

 

 

運転者「ええ、事故を起こして実感しました」

 

 管理者「せっかく運転代行を依頼しているのに、途中で帰して飲酒運転をしたんじゃ、何のために頼んだか分からなくなると思わないか」

 

 

運転者「本当に浅はかなことをしたと思います」

 

 

管理者「これからは、運転代行を頼んだら途中で帰すようなことをしないでくれよ」

 

 

運転者「はい、わかりました」

 自宅近くで運転代行を帰す背景には、ちょっとの距離なら運転しても大丈夫だろうと油断があります。どんな短い距離でも運転したら飲酒運転になりますので、絶対に帰さないようにしてくださいね。