ある事業所の社員が、同僚を助手席に乗せて駅まで送り、同僚が降りる際に助手席のドアを開けたところ、後ろから来た小学生の自転車と接触しました。帰社した運転者のＡ君と助手席に乗っていたＢ君から事情を聞いています。
管理者「助手席のドアを開けたときに、自転車と接触したって。Ｂ君は開けるときに後方を見なかったのか？」
助手席同乗者Ｂ「はい、見ませんでした」
管理者「ところで、君が運転しているときは、ドアを開ける際に後方の安全を確認するだろう？」
助手席同乗者Ｂ「もちろんですよ。運転しているときは右から降りますので、後方から車が来ますのでね」
管理者「そうだよな。じゃあ、なぜ左側から降りるときは確認していなかったのかな」
助手席同乗者Ｂ「左側は、車が来ませんので、安易に開けてしまいました」
管理者「確かに、車は来ないかもしれないが、自転車が来ることは考えなかったの？」
助手席同乗者Ｂ「そうですね、道路端に止まりましたので、あまり自転車の事は頭にありませんでした」
管理者「ところで、運転していたＡ君は確認しなかったの？」
運転者A「すみません。私も確認していませんでした」
助手席同乗者Ｂ「Ａ君のせいではなくて、私の責任なんです」
管理者「もちろん、後方の安全確認をしないでドアを開けたＢ君の責任は免れないが、運転者にも安全確認の義務があるということを言いたいのだよ」
運転者A「エッ、私にも責任があるのですか」
管理者「知らないの？道路交通法にも規定されているよ」
運転者A「道路交通法にですか？」
管理者「そう、道路交通法第71条第４号の３に、同乗者が安全確認をしないでドアを開けないように、運転者が注意しなければならない、とされているんだ」
運転者A「そうなんですね」
管理者「だから、Ａ君にも少なからず責任があると言いたいのだよ」
運転者A「申し訳ありませんでした」
管理者「それから、もう一つ言いたいことは、助手席側のドアを開けるときは、意外と盲点になりやすいということだ」
助手席同乗者Ｂ「左側は車が来ないから、大丈夫と思い込んで安全確認をしないということですね」
管理者「そういうことだな。でも、自転車はわずかなスペースで入ってくることがあるからな」
助手席同乗者Ｂ「そうですね。車と道路端との間は、そんなに離れていなかったので、まさか自転車が来ているとは思いませんでした」
管理者「これからは、助手席側から降りるときも、運転席側と同じように後方の安全確認をしてくれよ」
助手席同乗者Ｂ「はい、わかりました」
管理者「それから、Ａ君も助手席の人が降りるときは、後方の安全確認の義務があることを忘れないで、ルームミラーやサイドミラーでチェックして、自転車が来ているようであれば『自転車が来ているのでちょっと待って』と降りるのを止めてくれよ」
運転者A「はい、わかりました」
助手席の人が降りるとき、後方を注意せずにドアを開けることが少なくありません。運転者が後方から来る自転車をチェックし、助手席の人が早急にドアを開けないように注意してくださいね。