冠水した道路は走行しない

 ある事業所の社員が、ゲリラ豪雨にあって冠水した道路を走行中に側溝にタイヤがはまる事故を起こしました。運転者が管理者に事故の詳細を報告しています。

 

管理者「君が走行していた道路は、初めて走行する道だったの」

 

運転者「初めてではないのですが、過去に1度か2度しか走行したことがないです」

 

 

管理者「そうか、それで道路の形がよくわからなかったのかな」

 

運転者「そうですね。幹線道路を走行していたときは数センチしか冠水してなくて路面が見えていたのです」

 

 

管理者「それで、何も不安に思わず走行していたというわけ?」

 

運転者「はい、ところが〇〇交差点を右折して少し狭い道路に入ったのですが、そこは結構冠水していて路面はほどんど見えませんでした」

 

管理者「どれくらい冠水していたの?」

 

 

運転者「うーん、どれくらいだっただろう」

 

管理者「道路の縁石が見えていた?」

 

運転者「いや、見えてなかったように思います」

 

管理者「道路の縁石の高さは約15センチだから、20センチぐらい冠水していたと思うよ。ところで、落輪した地点はどこだっけ」

 

運転者「右折してから300mぐらい走行していた地点でした」

 

管理者「そんなに長い間冠水していたのなら、なぜそのまま走行し続けたんだ」

 

運転者「ずっと冠水しているとは思ってなくて、いずれは水が引いてくれるかなと思っていまして……」

 

 

管理者「逆に、どんどん水が深くなったらどうするんだよ」

 

運転者「うん、少々の水なら走行できるじゃないですか?」

 

 

管理者「JAFでは、水深30センチの30mのコースで、時速10キロと時速30キロで走行できるかどうかを実験しているんだ」

 

運転者「どうだったんですか……?」

 

管理者「時速10キロ、時速30キロともに走行できたのだが、ただ時速30キロではかなり水しぶきが上がってエンジンルームに多量の水が入ったということだ」

 

運転者「これって、30mしか走行していなかったんですよね」

 

管理者「そうだよ。冠水した道路を長い距離走っていると、エンジンルームに水が入ってエンジンがストップする危険があるからね」

 

運転者「そうなんですね……」

 

 

管理者「それと、今回のように側溝に落ちることもあるし、マンホールの蓋があいていて、そこにはまることもある」

 

運転者「知りませんでした……」

 

管理者「冠水した道路は、見た目だけでは水深を判断することが難しいため、いざ進入してしまうと思いのほか深いことがあるので注意が必要だよ」

 

運転者「はい」

 

 

管理者「水が縁石の高さを越えているようだったら、危険と判断して迂回することだ。それと、高架下のアンダーパスなどの低い場所は冠水しやすいので、絶対に進入しないようにしてくれよ」

 

運転者「はい、わかりました」

 

 

 道路が冠水していても、大したことはないと走行していると、途中でエンジンがストップしたり立ち往生することになります。冠水した道路は安易に走行せずに迂回するようにしてくださいね。

 

 

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