桜の森の満開の下

 こんにちは、野村です。

 

 大阪では桜の蕾がふくらんできました。もうすぐ開花です。

 

 ところで、桜と梅は近い時期に咲く花なのに、受ける印象は違うものがあります。

 

 梅からは凛とした美しさを、桜からは陽気さを感じます。

 

 しかし、坂口安吾は『桜の森の満開の下』で、桜が陽気でにぎやかだというのは、江戸時代からの話で、大昔は桜の花の下は怖しいと思っても、絶景だなどとは誰も思わなかったと書いています。

 

 この安吾の『桜の森の満開の下』と『耳男と夜長姫』をベースに、野田秀樹さんが『贋作・桜の森の満開の下』を作っています。

 

 わたしの、大好きな芝居のひとつで、初演と第2回公演を観ました。その時の夜長姫は毬谷友子さん。子供のような高音とドスの効いた低音の声を使い分け、無邪気さの中にひそむ残酷さと、鬼の激しい熱情が、舞台から迫ってきました。

 

 ラストは、夜長姫が花びらにかき消され、残された耳男の孤独と切なさが響きます。桜吹雪の舞い散るシーンは息をのむ美しさでした。

 

 いつも桜の咲く季節になると、この芝居の桜吹雪を思い出します。我々の仕事も、受講される皆様の心の琴線に触れ、いつまでも覚えておいて頂けるようなものにしたいと考えています。

(野村幸一)

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