あらい運転

 随分前のことです。大阪大学の人間科学部の大森教授に尋ねました。「プロドライバーでは、どんな人が事故を起こしやすいのですか?」と。

 すると先生は、「あらい運転をする人です」と即答されました。

 それから、わたしは、この「あらい」とは、「荒い」と決めつけ、思い込んでいました。あらい運転とは乱暴な運転であると、深く考えず単純に。

 でも、あるとき思ったのです。「あらい」には、「荒い」と「粗い」があるのではと。

 そこで、いくつかの辞書で調べてみました。

 「荒い」とは、粗暴である、動きが大きく激しいなどでした。対義語は、優しい、繊細、穏やかなどです。意味合いとしては、行動や性格にやさしいところがないさまです。

 「粗い」とは、粗雑、大雑把、粒が大きいなど。対義語は、滑らか、細かいなどです。正確でない、注意深くない、正しくないという意味合いがあるようです。

 ですから、あらい運転とは、性格的な荒々しさや感情の激しさ(激しいときを含む)が、運転の雑さとなって表れている、と考えてよいのではないでしょうか。

 どちらかといえば、荒いは内にあるものや原因で、粗いは外に表れたものという解釈です。

 したがって、意味としては「粗い」のほうが妥当と思われます。但し、直感的には、「荒い」のほうが分かりやすいですが(そのため、弊社も「荒い運転」を選択しています)。

 あらい運転はしないこと、少しずつアクセルを踏む、ハンドルを回すなど、急がずに滑らかな操作をしましょう。このことが重大事故のリスクを避けることにつながります。

 以上、今回はちょっと細かい話でした。

(野村幸一)

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