赤いハンドバック 事故再発防止研修にて-2

 前回の続きです。怒ってハンドバックを叩きつけた方は、一方的そうな方なので、こちらが話すのは控え目にしました。できるだけ話しを聞いてみることにして研修を進めました。

 そこで分かったことは、この方にとって車を3回ぶつけたことは、大したことではない、ということです。
 ゆえに、ハンドバックを机に叩きつけた時に、「どうして、車を3回ぶつけたくらいで、こんなものを受けないとならないの!」叫んだことは正直な気持ちなのです。

 “自分は事故を起こしていない”と考えておられます。そう考える理由は、「事故とは人にケガをさせること」で、「車をぶつけたことは事故ではない」と思っているからです。

 このように、事故とは「人を傷つけてはじめて事故である」と考えている方が多いです。

 これは一概には間違いといえません。しかしながら、企業ドライバーにとっての事故とは、車やバイクをぶつけたり損傷させたりする、いわゆる物損事故も含みます。
 何故なら、それらは企業の財産であり、それを貸与されたものです。貸与されたものを傷つけるとは、会社に損害を与えることになるからです。

 このような理由から、車をぶつけることは事故であり、それを防ぐことが求められるのです。そんな話をゆっくりしていくと、「そんな風に考えるのか」と素直に言われました。

 研修の最後に、「自分の持ち物も、会社の持ち物も大事にしましょうね」とわたしが言うと、椅子におかれた赤いハンドバックをチラッと見て笑っておられました。

(野村幸一)

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