ある事業所で、走行中に前車に追突する事故が起こり、運転者が管理者に報告しています。
管理者「走行中に前車に追突するなんて、前を見ていなかったのか？」
運転者「すみません。前を見ていなかったわけではないんですが・・・」
管理者「では、どこを見ていたの？」
運転者「車線変更をしようとして、サイドミラーで後方を見ていました」
管理者「車線変更をしようとしたときの事故なのか？」
運転者「ええ、後方の安全確認をしてから車線変更をしようとしたら、前の車が減速していたんで追突してしまいました」
管理者「どれくらい後方を見ていたの？」
運転者「１～２秒だったと思います」
管理者「感覚的に言えば、いつもよりも少し長い時間見ていたと思う？」
運転者「そうですね。ちょっと長かったかな」
管理者「その間、前車が減速するかもしれないとは考えなかった？」
運転者「頭になかったですね。前の車はそのまま進むと思っていました」
管理者「そうだよな。そうじゃないと後方を長く見ないよな」
運転者「はあ……」
管理者「ところで、車間距離はどれくらい取っていたの？」
運転者「１０ｍちょっとですかね」
管理者「そんなに短い車間距離で後方を見ていたら、前の車が少し減速したら追突しても仕方がないよ」
運転者「そうなんですが……」
管理者「車線変更をするときに後方の安全確認は必要だが、そのときは前方から目をそらしていることを忘れてはいけないよ」
運転者「ええ」
管理者「後方の安全確認をしている間、前を見ずに車は確実に進んでいるよな」
運転者「はい」
管理者「だとしたら、後方を見ている時間に進む距離だけ前方の安全を確保しておかなければならない」
運転者「車間距離が短すぎたということですかね」
管理者「そうだな。車間距離があまり取れないときは、安全確認をするためとはいえ、そんなに長い時間わき見はできないよ。せいぜいチラッと見る程度だな」
運転者「そうですね」
管理者「後方の安全確認をするときには、その間の前方の安全が確保できるかどうかを確認し、すぐに視線を戻すように心がけてくれよ」
運転者「はい、わかりました」
